ギックリ腰・背中、筋違えなどについて

 ギックリ腰は経験したことがなければ、その衝撃や痛み、苦しさ、辛さはなかなか理解できないものです。
 程度の差こそあれ「やってしまった!」と感じたら、それはギックリです。
 「グキッ!と音がして動けなくなってしまった」ということもあれば、「ちょっと筋を違えた感じだったのに、時間とともにジワジワと痛くなり、力が入らなくなって動作ができなくなってしまった」ということもあります。
 いずれにしましても慢性的な痛みとは違う急性の痛みに襲われたら、それはギックリか筋違い、肉離れなどです。体の自然的防衛反応として炎症が起こりますから、軽々しく考えないで、慎重に対処する必要があります。

 ギックリをしてしまったら‥まず行う対処法‥炎症を悪化させないために
  @安静に‥‥「やってしまった!」と思ったら、まず安静に。
  A患部を冷やす‥‥炎症が悪化しないように。冷湿布や冷タオル・氷のうなどで。
  Bマッサージは禁止‥‥ギックリはじん帯や筋肉などの傷、傷を悪化させない。
  Cお風呂・飲酒は禁止‥‥血行がよくなると炎症が拡がるので。

 私たちの体には自然治癒力がそなわっています。そしてその機能の一つとして、傷を負ったら炎症反応を起こし、その傷が致命傷にまで発展しないように防御する仕組みがあります。それは、ウイルスや菌が体内に侵入した時に熱を出してやっつけるのに似ています。
 ギックリ腰やギックリ背中は、外からは傷を確認することができませんが、捻挫や肉離れと同じく、じん帯や筋肉や筋膜が傷を負った状態であると考えた方がよいでしょう。
 ですから程度の差こそあれ、必ず炎症反応を伴います。そして、この“炎症”については、とても注意深く気を使って対処しなければなりません。この対処を間違うと症状を悪化させ、とても辛い思いをすることになるからです。


@首の筋違え(寝違え)
 程度の差はあれ“寝違え”は多くの人が経験することと思います。
 お腹の冷えがもたらす体への影響のところでも取り上げていますが、寝違えを起こす主な筋肉は“斜角筋”と呼ばれる、首の骨(頸椎)と肋骨をつなぐ筋肉です。
 首を回すとゴリゴリする感じがしたり、右を向いたり、左を向いたり、下を向いたりすると首筋にツッパリ感がでるときは、この斜角筋がこわばっているときです。“こわばる”というのは縮みたがっていて、伸ばそうとすると抵抗する状態です。このような状態の時に、「すっきりしたい」という思いから、首をぐるぐる回したり、ストレッチをして痛いのを無理して伸ばそうとすると筋線維が傷つき筋違いを起こしてしまう危険性があります。
 寝違えというのは“枕が合わない”から起こしやすいと思っている人もいるようですが、それが直接的な原因ではないと考えています。
 肋骨が下がっていたり、胸郭が歪んだりしていて斜角筋がこわばっている状態で、さらに明け方の冷えやエアコンの冷え、疲労などが重なって筋肉の働きが鈍くなっているときは“筋違え”を起こしやすい状態です。そんな時に、枕が合わないなど首筋が伸ばされたり、寝返りをうつなどの動作で首を動かしたときに首筋を傷めてしまうのが“寝違え”だと考えることができます。
 冷えたところで寝ない、冷たいものでお腹を冷やさない、筋肉がつっぱているのに無理して伸ばさない、などの注意が大切です。特に筋肉がこわばっている状態で無理して伸ばしていると、それは筋線維を傷つけることになります。

A筋膜の損傷(ギックリ背中など)
 私たちの体は、皮膚や筋肉や内臓など軟部組織と骨でできているわけですが、その中で筋膜も重要な働きをしています。筋膜にはいくつか種類があります。骨を包む膜は骨膜といい、骨に栄養や情報を与える働き他に、筋肉(腱)と骨とを結びつける役割をしています。骨膜も筋肉を包む筋膜とひとつながりですから、筋膜の一つと考えることができます。筋膜には、とても細い筋線維を包む筋膜(筋内膜・筋周膜)と、筋肉(筋線維がたくさん集まったもの)を包む膜(筋外膜)という深部筋膜があります。また、皮膚や皮下組織(皮下脂肪)の下にある皮下筋膜があります。腹膜とか胸膜というのも筋膜です。
 背中を触ったとき、背骨を除いてその周辺には背筋があります。背筋に覆われているので、肋骨を触ろうとすると少し深く手を当てなければなりませんが、背骨の上面には筋肉がありませんので、容易に背骨の突起に触れることができます。このとき背骨と指との間にあるのが筋膜です。筋膜はシート状の組織ですが、その働きについては残念ながら筋肉の働きほどは研究されていません。しかし現実問題として、このよくわかっていない筋膜に傷がつくと、体全体の働きに大きく影響します。例えば、図のように肩甲骨の間の背骨の上面にある筋膜に傷がつくと、腰もおかしくなりますし、腕をうまく動かすことができなくなります。動かそうとすると痛みがでたりします。
 “ギックリ腰”に準ずる言葉として“ギックリ背中”と言えるかもしれません。

Bギックリ腰(腰椎捻挫、仙腸関節捻挫、背筋の損傷など)
 足首をくじいたり捻挫するというのは多くの人が経験することでしょうから、イメージするとこが容易いと思います。
 この足首に起こることと同じようなことが、腰(腰椎)や骨盤(仙腸関節)で起こってしまうというのが、ギックリ腰の多くであると言ってもいいかもしれません。
 その他にも、“首の筋違え”と同様のことが背筋(脊柱起立筋群や腰方形筋)で起こってしまうことも考えられます。
 いずれにしましても腰は、その字が現すとおり、全身の要ですし、仙腸関節は骨盤の要です。そこが捻挫などして傷ついてしまうと、それはもう腰だけの部分的な問題ではなく、全身に影響が及びます。
 「グキッ!」とやってしまうと、もうその状態から少しも動けなくなってしまうかもしれません。



 ギックリ腰は多くの場合、炎症は損傷した部位だけでなく時間とともに全身に及びます。腰を傷めたのに、腕の筋肉が痛くなったり、首筋がおかしくなったり、頭痛がしたり、いろいろな症状が現れることでしょう。腰は全身の要であるということが理解できるかもしれません。気力すら失われてしまいます。

○安静に、患部を冷やす、マッサージや入浴や飲酒など血行をよくすることは禁止
 筋肉やじん帯が傷ついたのがギックリ腰ですから、そのケガが回復するまでには時間がかかります。しかしギックリをした後一番つらい症状をもたらすのは炎症です。まず炎症のことを頭に描いてください。全身に及んだ炎症が悪化するととてもつらいものです。
 少しでも「やってしまった!」という感覚を感じたのであれば、どんなに軽い症状でも、それはギックリと考えた方がよいでしょう。安静にし、患部を冷やしましょう。症状が重いときは体が動かせなくなりますから、安静にして冷やすということは連想しやすいことです。しかし、「やった!」という感覚は感じたもののたいして症状を伴わなければ、軽く考えてしまい、仕事に出かけたり用事を優先させたりしてしまいます。そのうち「単なる腰痛かもしれない?」などと思い始め、ゆっくり風呂につかって温まれば良くなるかもしれない、などと思い、そうして一晩寝た後、朝方になって“起き上がれない”となることもよくあることです。部分的であった炎症が、入浴などで温まったために全身に及んでしまったためです。
 またギックリをした直後はマッサージの類もよくありません。「もめば良くなるかもしれない」などと期待を寄せたい気持ちはわかりますが、炎症がひどくなってしまうのでそれは間違いです。
 
 冷湿布などで患部を冷やす。骨盤ベルト(あるいは、さらしなど)でサポートする。 というのが最初に行うケアです。 

ゆめとわでの対応
 “まったく動くことができない”状態でなければ、対応することができます。自分の力で歩くことができるのであれば、対応することができます。
 その症状の程度にもよりますが、ギックリ腰やギックリ背中などの場合は、2〜3回、一週間から10日ほどの期間で良くなると思います。寝違えや筋違いの場合は、1〜2回、即日から一週間程度でしょう。

 ここでは薬の類は一切使いませんので、炎症を速やかに抑えるようなことはできません。しかし自然に炎症が軽くなるように骨格を整え筋肉の状態を調整することができます。(そこが整形外科や接骨院などと違うところでしょう)
 そうすることで全身的であった炎症が、局所に絞られていきます。つまり腰全体が痛いとか背中全体が痛いという状態から腰や背中の「ここ」が痛いという、傷ついた部分がはっきりわかるようになります。
 最初の施術から2〜3日後に再度来ていただきますが、その時には多くの場合、炎症で熱感があるような状態ではなくなっています。そして損傷部位が特定できますので、それに集中して施術を行います。
 おそらく多くの場合、これで施術は終わることになるでしょう。症状の程度がひどい場合は、もう一度来ていただくかもしれません。

 “痛みがなくなればOK”とか“傷が治癒すればOK”というところで終わりにしないのが、ゆめとわでの施術の特徴だと思います。ちゃんと骨格を整えますし、全身の筋肉の状態を調整しますので、体はより快適になると思います。

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