噛みしめ・歯ぎしりの影響(3)

B舌骨の位置が変わり、呼吸や舌の働きにも影響がでる

 私たちは食べる時も言葉を発する時も盛んに舌を使いますが、舌は私たちの想像以上に大きな筋肉の塊であり、舌骨という半ば宙に浮いた状態の骨を基盤にして働いています。この舌骨が本来の位置からずれたり不安定になりますと舌の働きに影響がでます。「舌を噛みやすい」「しゃべりづらい」「のどのところで呼吸が引っかかる気がする」あるいは無呼吸症候群の症状がある場合など場合は、舌骨について確認してみる必要があるでしょう。

 体の中のほとんどの骨は隣り合う骨と直接接していますが、肩甲骨や舌骨は他の骨とは直接接しているわけではありません。舌骨は顎の下で宙に浮いています。胸からの筋肉、のどからの筋肉、そして顎や頭蓋骨や肩甲骨からの筋肉につながっていて、それらの筋肉の引っ張り合うバランスによって位置が決まってきます。
 噛みしめや歯ぎしりの影響という面では、側頭骨から舌骨につながっている茎突舌骨筋と顎二腹筋の状態を考える必要があります。
舌骨・顎二腹筋・茎突舌骨筋 噛みしめの癖や歯ぎしりの癖を持つ人の多くは、そしゃく筋に力がはいってこわばっているだけでなく、耳の周辺から下顎、のど仏のところあたりまで力が入っていて硬くなり緊張状態にあるようです。この部分は筋肉としては茎突舌骨筋と顎二腹筋のあるところです。
 この二つの筋肉がこわばりますと、舌骨を上の方(顎関節の方向)に引き上げることになります。すると舌の働きに影響がでます。また気管やのどの位置も本来からずれますので、少なからず呼吸や発声に影響がでます。いつものどが少し絞められているような感じになるのかもしれません。
ゆめとわでの対応

 噛みしめ・歯ぎしり・食いしばりの癖を持っている人は例外なく、咬筋・側頭筋そして頬から顎関節、耳周辺にかけてガチガチにこわばって硬くなっています。
 この場合必ず最初に行うことは、これらのこわばりを弛めて解消することです。何十年にもわたってこのような癖をもっている人は1時間かけて弛めてもこわばりが解消しきれないこともありますが、通常は30分程度でかなりよくなります。
 そしゃく筋、茎突舌骨筋、顎二腹筋などのこわばりが弛んできますと、顎関節に余裕ができてリラックスしてくるとともに、斜角筋、胸鎖乳突筋など首の筋肉が弛んできて首が楽になり動きやすくなります。
 肩を触ると盛り上がっていて、押すと痛く感じ、首を動かすと肩にハリや痛みを感じるのは肩甲舌骨筋がこわばっているためですが、この筋肉も茎突舌骨筋、顎二腹筋が弛みますと弛んできて楽になります。その他にも全身の血行が良くなり手足の冷えも改善するようになります。

 以上のように、最初に行うことはこわばりを改善することですが、次に行うことは噛みしめたり歯ぎしりをしたりする原因と考えられる要因を改善することです。
 鎖骨がずれていて下顎が捻れていて顎関節に余計に力を入れてしまうこともありますし、股関節がおかしくて歯ぎしりをしてしまうこともあるでしょう。ですから、体の捻れを改善し、股関節を整え、全身の循環が良くなるように調整することが次に行うことです。

 この二つ、@こわばりの改善とA体の調整を行いますが、すると首肩まわりだけでなく体全体がリラックスするようになります。

 首肩の凝りは、揉みほぐすことで良くなるものもありますが、いくら揉みほぐしてもその時だけというものもあります。運動をしてもマッサージを受けてもなかなか首肩の凝りが改善しないという方は、噛みしめによる以上の筋肉のこわばりを解消することも試してみてください。

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