むくみについて (1)

 むくみに関係する内臓の臓器は腎臓・肝臓・心臓であると言われています。これらの働きが鈍って利尿作用が低下しますと、スネ付近を指で押すと凹んでしまうようなむくみが見受けられるようになります。
 むくみは部分的に、あるいは全身的に水分の流れが停滞するために起こる場合と、内臓の働きが悪くなり水分が体内に余ってしまうことによって起こる場合があります。
 整体の領域で対応できるむくみは、リンパや静脈の流れが悪くなるために水分が停滞してしまう前者の場合が主になります。
 ふくらはぎ(膝下)や下半身、あるいは顔のむくみが気になる人が多いようですが、むくみが全身性である場合もあり、背中がスッキリしない、手指が握れないなどの不快感をもたらす場合もあります。眼がゴロゴロする、つまり眼圧が高まっているというのもむくみの一つであると考えることができます。また臨床的によくあることですが、めまいがするというのも内耳の器官がむくんでいる可能性があります。
 今回はそれらを含めてむくみについて考えてみたいと思います。

四つのむくみ

@膝から下、ふくらはぎや足のむくみとだるさ

 立ち仕事が多い人、一日中パソコン仕事で座りっぱなしの人などは、夕方になると靴がきつくなるほどむくみを感じる場合があります。このむくみの程度が進みますと、だるくなり膝から下をどうにかしたいと不快感を感じるようになります。こんな時は「足リフレ」の施術が効果的です。
 しかし、リフレによって一時はスッキリするものの2〜3日するとまたむくみを感じだす場合も多いことでしょう。なぜなら、このむくみをもたらす根本的な原因を足リフレなどの施術では解消することができないからです。
 このタイプのむくみをもたらす原因は大きく二つが考えられます。一つは、肩こりと同じようにふくらはぎの筋肉などが凝っていたり、こわばっていたり、あるいは弛みすぎている場合です。それによって静脈やリンパの流れが悪くなっているためにむくみが生じます。これはマッサージやリフレなどの施術によって原因を解消することができるかもしれません。
 二つ目は、膝関節が歪んでいる場合です。関節の歪みというのは、太ももの骨と主にスネの骨の位置関係が正しくない場合です。
 足は心臓から遠く離れていますから、心臓のポンプ作用による血流を循環させる力は弱くなっています。また静脈やリンパは自分自身の力で血液やリンパ液を心臓に戻す機能はありません。周りの筋肉の働きによって、つまり牛の乳搾りのような作用によって前方に運ばれます。膝関節が歪んでいると血管やリンパ管のホースがよれてしまうような状態になりますので、通りが悪くなり、水分が停滞してしまうと考えることができます。この場合は、マッサージなどの手段ではなく、整体によって膝関節を正常に整えることが必要です。
 臨床的に申し上げまして、膝関節や足関節(足首)を整えますと速やかにむくみが減少していきます。
A股関節から下の下半身全体のむくみ(下半身がパンパン状態)

 いつも太ももをはじめ下半身がパンパンになっている人がいます。皮下脂肪の影響もあるかもしれませんが、風船がパンパンしているような感じで押しても余裕がないような場合は、むくみの要素の方が強いと考えられます。股関節のところで血液やリンパの流れが悪くなっているので、上半身はそうでもないのに下半身が重く感じられたりします。
 股関節のところには鼡径部があります。鼡径部の狭い隙間に太い動脈や静脈、リンパ、そして筋肉(大腰筋・腸骨筋)が通っていますので、股関節や骨盤に歪みがあると静脈やリンパ圧迫されて流れが悪くなります。
 また下半身の始まりである骨盤には、小腸や膀胱、子宮・前立腺・卵巣・性器などの大切な臓器があります。お腹が冷えますとこれらの器官の活動が鈍ると考えられます。するとやはり下半身の血液やリンパの流れも悪くなります。実際、ヘソを中心に手を当て、お腹の深い部分を温めますと下半身のパンパンした状態が数分のうちに改善されていきます。
 東洋医学では小腸と心臓は表裏の関係と考えられています。日中活動しているときには交感神経が優位に働いて心臓が活発に働き、血圧を上げて全身の循環をつかさどりますが、夜寝ているときには血圧も下がり心臓も一種の休息状態になります。その時には副交感神経の働きが優位になって小腸や肝臓をはじめとする消化・吸収・代謝に関わる臓器が活発に働きます。つまり夜中は小腸に血液が集まりますので、小腸の働きが全身の循環に貢献します。お腹が冷えている人は体内酵素の働きが低下しますから小腸の働きも悪くなります。すると下半身太りや朝起きたときの体の痛みにつながります。
B噛み合わせを整えると、噛むことが心地良くなる

 朝起きたときに顔がむくんでいる人はけっこういるようです。そのむくむが、活動を開始して1時間から2時間すると気にならなくなるというのであれば、そのむくみの原因はやはり寝ている間の循環に問題があるからだと思います。寝ている間は自律神経の働きで血圧が低下します。女性には低血圧の人が多いようですが、そういう人は更に低血圧になりますし心拍数も低下しますので、寝ている間の血液循環は乏しくなります。ですからどうしても水分が停滞気味になってしまうのでしょう。
 朝方だけでなく日中も、夜も、常に顔にむくみを感じているような時は、顔や頭部の循環が鈍くなっているということです。顔や頭の骨格が歪んでいたり表情筋や皮膚などに変調がありますと、やはり顔面部におけるリンパや血液の循環が鈍くなりますのでむくみが生じてしまいます。
 私たちは日々、食べたり、話したり、笑ったりして表情筋を動かしていますが、それぞれの人に固有の癖があります。癖というのは“筋肉の使い方の偏り”と同じ意味です。その偏りが長年続きますと、そのように筋肉は変調します。そしてその変調によって骨格も歪み顔面全体の流れが悪くなります。すると水分が停滞しますので、むくみとなって現れることになります。
 このようなむくみを改善するためにリンパマッサージやフェイシャルマッサージなどがありますが、整体によって骨格を整え、癖による筋肉の変調を解消することで速やかにむくみは解消されていきます。

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