C全身性のむくみ(お腹・背中・手・指など)
体のどこかがむくんでいるという部分的なことではなく、全身がむくんでいるという人もいます。むくみによって体が重たく感じている人・太っている人と言ってもいいかもしれません。
腹筋の働きが悪いと身体全体がむくみます。ご飯をよく噛まないとむくみます。この二つは体の働きを支える上での根本的な仕組みです。腹筋については誤解されやすいのですが、腹筋運動で筋肉を鍛えることよりもお腹を冷やさないことの方を優先するべきです。もちろん腹筋そのものが乏しければ話しになりませんから腹筋を鍛えることも大切ですが、筋肉の働きは冷えに弱いですから、つまり温度がないと働きが鈍くなりますから、そういう意味で冷やさないことの方が大切だ申し上げています。
全身の血液は静脈に入って心臓に戻りますが、最終的に心臓に戻るルートは二つです。一つは下半身と内臓の静脈を集めて心臓の下側から戻るルート(下大静脈)。このルートでは下半身の静脈は鼡径部(股関節)を通りますので、そこでの流れが悪くなりますと前記Aの通りです。もう一つのルートは、鎖骨下静脈です。全身の静脈はネットワーク状につながっていますので、上半身の静脈だけでなく下半身の皮膚近くの浅い静脈もこの鎖骨下静脈を経由して心臓に戻ると考えられます。また大量の血液を必要とする脳からの静脈も最終的にはこの鎖骨下静脈と合流して心臓に戻ることになります。さらに全身のリンパはすべて最終的にこの鎖骨下静脈に合流して心臓に戻りますので、鎖骨下静脈の流れが悪くなりまと全身のむくみに大きく影響します。
鎖骨下静脈の流れが悪くなってしまうのは、鎖骨や肋骨が正しい位置関係になく、その間隙を通っている血管が圧迫されているからではないかと考えることができます。
鎖骨と肋骨の関係を考えるとき、鎖骨が下がっているか肋骨が上がっていれば、その隙間が狭くなりますので、それぞれについて考えてみます。
これは一つのケースですが、鎖骨は胸鎖乳突筋という筋肉によって頭部とつながっています。この胸鎖乳突筋は噛む筋肉(咬筋や側頭筋)と連動しますので、噛む筋肉がゆるんでしまうと胸鎖乳突筋もゆるみ鎖骨は下に下がってしまいます。両肩が前に出ている人は鎖骨が「V字型」になっている傾向がありますが、そのような状態が鎖骨が下がっている状態です。
肋骨の方は腹筋によって骨盤とつながっていますので、腹筋の働きが悪くなると筋肉がゆるみ肋骨が上に上がってしまいます。あるいは肥満などでお腹が大きく出てしまいますと、上に持ち上げられる恰好になります。仰向けで横になったとき、胸やバストが顔の方に近づく感じがしたり、あるいは長い時間仰向けでいるとなんとなく息苦しさを感じるようであれば、それは肋骨が上がっているということです。私たちは息を吸ったとき肋骨が上がるようにできていますが、肋骨が上がった状態はつまり息を吸った状態と同じなので、息を吐き出すことがうまくできず息苦しさを感じるようになるのです。
鎖骨下静脈の流れはとても重要だと考えています。脳は大変多くの酸素を消費し炭酸ガスを排出しています。つまり動脈と静脈の循環が活発なところです。この循環が停滞しないためには心臓の働きや動脈硬化の問題もさることながら、頭部からの静脈(頚静脈)が合流する鎖骨下静脈の流れに滞りがないように保つことも重要だと考えています。
眼がゴロゴロするような状態は眼圧が上がっている状態だと考えることができますが、眼というのは脳が表に飛び出したものですから、眼圧が高いということは脳内の圧力も高まっていると考えることもできます。実際、眼のゴロゴロ感は鎖骨と肋骨を整え鎖骨下静脈の流れを改善することによって速やかに解消することができます。
ここでは、鎖骨と肋骨の関係を上・下のずれとして記しましたが、実際には体が捻れていて鎖骨と肋骨が反対の方に向いているという場合もありますし、それ以外にも位置関係が悪くなっている場合もあります。